2012年1月24日

雪ニモマケズ

庭に雪が積もりました。
6年ぶりなんだとか、そうだったっけ。
雪を見ると素敵な気分になれる。脳細胞の奥にほおっておいた雪にまつわる古い記憶の粒が、純白の結晶にシンクロし細かく振動を始めて、それが次第に増幅して今の僕を震えさせるのだ。なぜかこの感覚は雪以外では起らない。そして、その波長にはチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番、できればリヒテルがいい。
そんな気分で庭を眺めている。

以前、ウチで創って売っていたこともあるモンゴルのゲル風の仮設小屋も愛くるしく白化粧。
これ、儲からなかったなぁ...。
庭に建ててもう10年になるだろうか…ここには娘が暮らしている。娘のたっての希望なのだ。暑い夏も、台風のドシャブリでも、こうした極寒の雪の日も365日。
好んでくれるのは嬉しいんだけど、嫁入り道具にも持って行くつもりなのだからあきれてしまう。まぁコレが入るスペースを持てる未来があれば、それはそれで良いんだがね。

僕のアウトドア三昧がこんな形で受け継がれるのには、若干であるが不安を禁じ得ない...そんな夜である。

2012年1月22日

ランプの夜

ようやく脚が動かせる様になってきた。
先日のスキーでヤリ過ぎてしまった。軽度ではあるが靭帯損傷。何事も無く帰宅して、3日後に歩けなくなった。そうしてずっと整骨院通いが続いている。

久しくオトナシくしていたので、怪しい虫がこらえきれずに騒ぎだしていたところに、好都合にも飲みのお誘いが来た。
ショウモナイとでも言いたげな妻の視線を背中に受けて、酒をザックで担いで軽いビッコを引きながら徒歩で出かけた。薄手のザックは一升瓶である事が明らかだし、そうとう滑稽な後ろ姿だろうことは自覚するところであるが、整骨院から、そろそろ運動を始めてと言われているという、まったく正当な理由もある。
国分寺 崖線の旧い小径。
夜の小雨は予報を裏切り、残念にも雪にはならなかった。
訪れたのはプレハブの倉庫。
電源は無い。
カセットコンロには此処の主の手製の牛筋煮込み。
快気祝いにと残しておいた持参の地酒。
コルトレーンのバラード。
ランプの灯に照らされた友達の顔が暖かい。

何だか雪山の掘っ建て小屋気分が終わってない...

2012年1月7日

寂しい酒

新年早々、会津高原の台鞍山、いつもの山で独りで山ごもり。
小さなスキー場ですが、ゲレンデもいいし(衰えた体には丁度いい)人も温かい。ここ20数年はここでしかスキーしません。ゲレンデすぐわきに子供達とトンテンカンと立てた掘建て小屋に泊まっています。
独りは本当に初めてです。
気圧に敏感で高山病症の妻は来たがらないし、娘は早々に仕事始まったし、末っ子は高校受験で部屋にこもってガリガリ中。
こんな日も来るんだな。

昼間はただひたすらに滑る。
暗くなってリフトが止まり、小屋で独り。
夜のテーブルはこんな感じ。
一人だとロクなモノ食わずに、レトルトや出来合いのツマミに、この地自慢の地酒だけ。それに電話とメ—ルに、奇々怪々難解な長編小説に、JAZZに、60Wの裸電球。
シンシンと...なんて妥当な表現なんだろう...一晩で30センチの雪が積もった。建物が多少歪んできているので、引き戸が完全に閉まらず、すきま風といっしょに雪が舞い込み、隅の方に白く積もっている。

この寂しさ...いつのまにか心地よく浸っている自分にハッとします。なんだか、懐かしいような。ひょっとすると帰りたくなくなって来るようで、我に返る。引きこもるってこんな感じかしら...。