芋煮会と言う名の存在は随分前から知っていたが実態を知らずにいた。ただの芋の鍋じゃない?何かあるに違いないと長い事興味を持ちつづけて来た。
そういう僕に宮城出の友人からうってつけのお誘いがあった。
初体験。
なぜそんなにも東北人が夢中になるのか知れるのだ、嬉しいじゃないか。と快晴の日曜日、浅川の河川敷に家族で出かけたのである。
地方によって厳正なルールがある、一括りに芋煮といってはいけない、と解説から始まった。今回の鍋は二つ、山形方式の醤油ベースの鍋と宮城方式の味噌ベースの鍋が並ぶ。双方の鍋とも頑な郷土愛に支えられて厳格なレシピを誇りにしてるらしい。メインは勿論サトイモ。肉は山形は牛、宮城は豚と異なる。キノコ、こんにゃく、人参、ごぼう、ネギ、だったかな。素材は近いけど分量は微妙に異なっていた。
丁寧にダシを取り、現地の赤味噌を取り寄せて煮込む。煮えたら一旦火を止めて熟成させるのがポイントのようだ。
そして再加熱して出来上がる。
そして再加熱して出来上がる。
種も仕掛けも無かった。心を込めて丁寧に仕込まれたシンプルなお芋の鍋料理、東北地方ではこの季節、河原等でさかんに開催されており、これが郷土の絆を深める重要な儀式になっている東北アイデンティティーいっぱいの食べ物の真の姿であった。
僕には妻の口に戸を立てるすべは無いのだけど、けんちん汁だとか牛鍋だとか豚汁だとか、軽々しいツッコミでかなり傷付けてしまったかな。それを気にかけた訳じゃないけど、どちらが美味しいかと問われて味噌の鍋と言ったのは当然の成り行き。
何はともあれ、季節外れの暖かい陽気の広い河原、愉快な友達と素朴な料理で飲む日本酒はそうとうに美味しかったのはいうまでもない。
そういう訳だ...芋煮じゃなくて、芋・煮・会。