2014年6月25日

シーラカンスは美味しいか

もう随分前のことになったのだが、陶芸にチャレンジし気鋭の作家についていた事が或る。そしてその当時の作品がいくつか残っているのだが、誰が覚えていたのか何処で聞いたか判らぬが、某陶芸アーティストから公募展に出品しないかという電話が入った?!。
東京都美術館だという。
いきさつはこの際どうでもいい、いきなりの展開に冷静にはなれぬままアートの聖地、上野で展示出来るって舞い上がって即OKと返事したのは、不徳のいたす仕業であったかな。
その後に続く解説によると、ぶっちゃけた話、出品者が少なくて広い展示会場を上手く埋められないのと、展示費用の分担が大変なので、声をかけたという顛末であった。確かにぶっちゃけているな。
それでもいいではないか。光栄な話に違いは無い...。
さらに、展示の共通テーマに据えた、フクシマに因果する「食」にまつわる作品で構成したいという。
えっ、僕のは建築をテーマにしたオブジェだぜ⁉。
かまわないから題名等、こじつけてくれればいいんじゃないかって...やれやれ、電話を切る頃には嬉しいのかどうか判らなっていた。

家族会議の結果、妻が形が似てるから題目をシーラカンスの料理にしようって?言い出した。確かに美味いんだかマズいんだか判らないところがお似合いだ。そして作品の座布団にと、キルトでフォークとナイフの付いた大皿を縫ってくれた。
かなりそれらしくなった...な。
こういう屁理屈を超えた発想は妻の真骨頂である。
おかげで主催者達からはたいへんな好評を頂けたのだが...。

展示が全て整って、会場はそれなりにカッコは付いてきた。
僕のは中央部、主催の作家の隣という格好のロケーションです。
照れるな、実際何年前の作品だったかも思い出せない程旧いのである。皆、新作の発表にウキウキしている中、僕だけは気持ちが乗れない。鮮度の失せた作品は他と比べて陳腐、劣って見えてしまう。
そう言えば、こいつ生きた化石とも言うんだった。

案内ハガキはいっぱい貰ったんだけど誰にも出せませんでした。

2 件のコメント:

おかんの頭の頭 さんのコメント...

そーゆー考え方やスタイルに惹かれて毎日チェックしています。
とてもかっこよく、潔く、憧れます。

奥様のセンスも良いですねぇ~

コーシロー さんのコメント...

おかんさん
そういえばGIULIAも生きた化石ですね。
いつまでも活き活きと生かしたい。